Vermilion::text 128階 永遠の闘技場 「Missing Creature」(7)

参加者75名中29名死亡。きっちり半数まではいかなかったものの想像以上に死亡者がでた。ゴッゴルとおぼしきものの暴走は茜の一振りによって止まった。財団は茜の一振りによって止まったモノをゴッゴルと認定。1ヶ月間を調査期間として関係者以外闘技場への立ち入りを一切禁じた。茜のパーティは1名も欠けず帰還。他のパーティは他のクリーチャーからの攻撃によって負傷しているものなども見受けられた。

「私たち、ラッキーだったのかな。」力をほぼ使い果たし呆然と立ちすくむヒサメ。「茜がいなかったらだめだったな、俺たち。」へたり込んだヴォーザがそれに答えた。

「南無三」クロハネは小さくつぶやいた。そして茜を見る。返り血を浴びているはずだった茜はそのままの色形で存在していた。少女は。はっとして少女を見る。少女は血を出すどころか・・・赤茶の土砂の塊となっていた。「いったいこれは。」

赤茶の土砂は一粒たりとも残されず回収された。自分たちが見たアレはいったいなんだったのだ。ホントにゴッゴルだったのか?クロハネの頭の中で答えの無い疑問がまわり続ける。「なにものでもない。Vermilionの化身だ。魔力の塊というべきか。」まるで自分の頭の中身を覗かれたように茜がすっぱりと答えた。「ここには力があるものが出入りしすぎている。想像以上にな。放たれ、飽和状態になった魔力がVermilionを触媒として増幅し形成されたものがあの少女だ。」人が根源。だから不安を投影して変幻自在に姿形を変えたのだろう、とも茜は付け加えた。

「ここがある限りまたくるよ。ゴッゴルは人が源だからな。」